石垣島平得大俣地区への陸上自衛隊配備計画で、駐屯地建設予定地周辺の4公民館住民約50人と石垣市の中山義隆市長が11日夜、川原公民館で初めて面談した。住民側は3ヵ月以内の住民投票の実施を求め「私たちは結果を尊重する」(川原公民館の具志堅正館長)と言明。仮に配備賛成が多数になっても結果に従う考えを明らかにした。中山市長は、住民投票の可否は議会が判断するとした上で、要望は「議員に伝える」と応じた。住民投票の実施に否定的な自身の考えは変えなかった。面談の時間は午後7時から約2時間半に及んだ。
■市長は「議会が判断」
面談には於茂登、開南、川原、嵩田の各公民館の住民などが出席。市からは市長のほか、副市長や関係部課長が対応した。
住民側は住民投票について「市民の声を防衛省に届けるのも市長の責務だ」「(住民投票が実施されなければ)市長の責任を問うことになる」などと強く実施を要求。中山市長は「国の安全保障に関することに一地域の住民投票はそぐわない」と述べた。
住民からは駐屯地建設予定地に生息するカンムリワシの保護について「周辺が繁殖地である事実は隠しようがない」「確認できないうちは、工事を止めさせてほしい」と詳細な環境調査を求める声が出た。
駐屯地から汚染された水が排出され、周辺の水源に流入する可能性についても「いくら除去しても、ごくわずか、影響がある物質が出る。除去する方法はない」と主張した。
中山市長はカンムリワシの生態調査について「途中経過でも公表すべきではないかと防衛省に伝える」と述べた。水源に関する影響も防衛省に確認すると答えた。
面談の最後に具志堅館長は「自衛隊配備がなぜ必要なのか。いまだに全く理解も納得もできない。多くの石垣市民も同じ気落ちだと思う」と訴えた。中山市長は「今日が最後の話し合いではない。今後とも皆さんの声をしっかり聞きたい」と呼び掛けた。
市と4地区住民との協議は、住民側が拒んでいたためこれまで実現していなかった。