研究紀要を初発行 知覧特攻平和会館長ら来社

寄贈された『「軍神」を忘れた沖縄』を手にする知覧特攻平和会館の朝隈克博館長(左)と桑代照明参事=26日午後、八重山日報社

 特攻隊員、戦没者1036人の遺品を展示・収蔵している知覧特攻平和会館=鹿児島県南九州市=の朝隈克博館長(57)と桑代照明参事(62)、慰霊祭実行委員会の上地和浩副会長(60)が、伊舎堂用久中佐と隊員の慰霊祭が行われた26日、八重山日報社を表敬訪問し、同館研究紀要の初の発行と来年の慰霊祭の方針などを話した。
 朝隈館長は、同紀要が3月末に初めて発行されたと報告。特攻に関する証言者の多くが亡くなり、また高齢化が進む中、紀要は同館で保管する資料の来歴や客観的背景、資料保存への取組みなどを研究し、その成果を記録することが目的。今後は年に一度発行していく。
 「一次資料をありのままに紹介している。紀要を多くの方に見てもらい、いろんな立場から検討してもらいたい」と述べた。
 紀要第1号では▽展示されてきた遺書や手紙など、特徴の異なる20点の製紙原料の調査▽同館収蔵資料の保存への取組みの概要▽女学生がつづった「特攻日記」の基礎的研究―などが報告されている。
 上地副会長は、「伊舎堂中佐は全く知られていなかった」と述べ、顕彰碑建立の経緯を説明。本土復帰以前には学校教諭が国旗を揚げて提灯行列をなしたが、復帰後に国旗に対するうがった見方が広まり、学校で特攻隊を教えづらい状況へと変化したと振り返った。
 また、慰霊祭後に朝隈館長らと伊舎堂家を訪れ、資料の保存方法を指導し、学芸員を派遣する約束をしたとし、中佐らが特攻して75年となる来年の慰霊祭について、「館長らの協力を得つつ、遺品展なども考えている」と述べた。
 また、同社の仲新城誠編集長が『「軍神」を忘れた沖縄』を同館へ寄贈した。 

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