民主党政権は「失政」と同義語のようなイメージで語られることが多い。実際、振り返るとさまざまな醜態が思い浮かぶ◆東日本大震災と原発事故では、菅首相の言動が混乱を助長したとして問題視された。消費税をめぐっては、不況下にもかかわらず、野田首相がよりによって「増税に政治生命を懸ける」と公言、政治センスの欠如をさらけ出した◆鳩山首相は、無鉄砲な「最低でも県外」発言が名高い。現在に至る普天間飛行場移設問題の混迷がスタートした。菅政権時代、尖閣諸島周辺では、中国漁船が海保の巡視船に衝突する事件を起こしたが、ただちに船長を釈放した「弱腰対応」が批判された◆東京都の尖閣購入計画を阻止するため、野田首相が尖閣国有化に踏み切ったが、中国はこれを口実に反日活動を活発化させた。あのまま都に尖閣を購入させ、船着き場などを迅速に整備させていたら、衰退する八重山漁業は今ごろ違った展開をたどっていたかも知れない◆民主党が政権を奪取したころは、日本ブランドが大きく揺らぎ始めた時代だった。その動揺は今でも続き、不透明で混沌とした時代が到来している。「あの時自民党だったら、もっとうまくやれたはず」とも一概に言えない。民主党は、悪い時代に政権を担ってしまったのだろう。