【金波銀波】70年前の戦勝国とは…
- 2016/9/4
- 金波銀波
70年前の戦勝国とはそこまで偉いのか、というのが八重山住民の率直な感想だろう。「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利70周年」式典で習近平国家主席は「日本軍国主義の侵略者を徹底的に打ち負かした」「この偉大なる勝利によって、中国は再び、大国としての地位を手に入れた」と胸を張った◆歴史を忘れず、貴重な教訓として胸に刻むのは当然だ。だが70年前の感覚で現代を語られても困る。習主席の演説では、日本に対する融和の言葉は一言もなく、一方で国民に対し、共産党指導下での「中華民族の偉大な復興」を呼び掛けるなど、独善さだけが目立った◆「平和発展の道を歩む」と宣言しながら、200機もの軍用機やミサイルを披露する軍事パレードを実施する神経が、そもそも不可解だ◆ミサイルの登場時には、国営テレビのアナウンサーが「殺傷能力が高い、優れた兵器だ」と称賛。習主席が車で閲兵を行うシーンも、どこかの国の独裁者を見ているようだった◆習主席がこの日、世界に要求した「正しい歴史観」は「日本が尖閣諸島を領有するのは戦後の国際秩序に対する挑戦だ」という身勝手な主張を含む。八重山住民としては、習主席の粗雑な演説より、安倍談話のほうがよほど未来志向で、格調高く感じる。