県は30日、在沖米軍基地の整理縮小を有識者で論議する「万国津梁会議(ばんこくしんりょうかいぎ)」の「人権平和分野」の初会合を県庁で開き、委員長に元防衛官僚で内閣官房副長官補を務めた柳沢協二氏が選任された。有識者の意見や提案を玉城デニー知事らが精査し、県の施策に反映させる。
会合の冒頭で玉城氏は「戦後74年となる現在も米軍基地に起因する事件や事故など、過重な負担を強いられ続けている。活発な議論で基地負担の軽減につながることを期待する」と述べた。
会議は非公開となったが、柳沢氏は会合後、報道陣に「本土から見ても、沖縄県民と日本政府の間に大きな溝があるのはどちらにとっても不幸だ。何とか打開策が見つからないかなというのが率直な思いだ」と述べた。次回会合を8月上旬に開く意向も示した。
普天間飛行場の辺野古移設の代替案を年度内に提案できるか問われ「できないと思う。知事の権限を越えたことを申し上げるつもりはない」と否定的な考えを示した。副委員長には沖縄国際大学の野添文彬准教授が選出された。委員は5人で、他の3人はマイク・モチヅキ米ジョージワシントン大学准教授、元外交官の孫崎享氏、琉球大学講師の山本章子氏。任期は21年4月末まで。
この日の会合では在沖縄米海兵隊の駐留の必要性や、日米特別行動委員会(SACO)最終報告で日米両政府が合意した内容についても議論した。
県の事務局が議事録の概要版を作成し、約一週間後に公表する。ただ、発言者は伏せる。
今年度の会合は4ヵ月に一回程度とし、次回は8月上旬に開催を予定する。
万国津梁会議には、同日に初会合があった「人権平和」を含め計5つの分野があり、各分野で議論した有識者の意見は玉城知事の政策に反映される。