北部の救急、空白懸念 伊原間救急隊が急患搬送

 離島から石垣島への急患搬送で、島北部にある市消防伊原間出張所の救急車が患者を新石垣空港から県立八重山病院へ搬送していることに対し「北部の救急体制に空白ができる」と懸念する声が上がっている。11日の石垣市議会一般質問で我喜屋隆次氏が追及し、大浜安久消防長は「庁内で再検討し、より良い方向へ改善したい」と述べた。

 急患搬送のヘリ発着場はこれまで八重山病院の隣接地にあったが、6日から新空港に変更された。これに伴い、伊原間出張所の救急隊が新空港にある石垣航空基地に出動して患者の引き継ぎを受け、八重山病院に搬送する体制になっている。
 大浜消防長によると新空港は従来から伊原間出張所の管轄区域。その上、昨年の救急車出動件数2592件中、約9割の2338件を消防本部で対応しており、消防本部の救急車は出動が重なるケースも多い。
 救急車は消防本部に2台、伊原間、川平出張所に各1台。市消防は「4台を有効活用する」(大浜消防長)観点から、急患輸送を伊原間出張所が担当することが妥当との見解を示している。
 ただ10日までに2件の急患輸送があり、伊原間救急隊が急患輸送を終えて戻るまで1時間39分かかった。一般質問で我喜屋氏は「伊原間出張所の管轄地域で救急や火災などの出動要請があった場合、対応できない空白の時間ができる」と指摘。「急患搬送は本部からの出動が効率的ではないか」とただした。
 大浜消防長は「伊原間救急隊の出動と同時に川平出張所の救急隊が冨野方面に待機し、未警戒区域を最小限度にとどめるよう対応している」と理解を求めたが、我喜屋氏は「迅速に対応ができない地域が伊原間、川平の2カ所になる」と疑問視した。
 中山義隆市長は「確かに伊原間、川平の救急隊が移動した場合、その時点で空白が生じる。業務の見直し、人員確保、機材確保に取り組み、最善の策を取りたい」と体制を再検討する考えを示した。
 我喜屋氏は、ヘリ発着場の変更に伴い、八重山病院がヘリに医師を同乗させない可能性を示唆していることも取り上げた。
 大浜消防長は「救急車に医師が乗らないことで処置に影響はあると思う。消防ができる範囲で処置に最善を尽くす」と答弁。我喜屋氏は「(病院側の発言は)感情的ではないか。市と県と病院が、ぎくしゃくしている部分がある」と危惧した。

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