県は28日、キク科植物に寄生する害虫を特定し、効果的な防除技術の確立に貢献したとして、県主任技師の喜久村智子さんが表彰されたと発表した。
喜久村さんは、沖縄の主要県外移出品であるキクの葉に寄生し被害を出す害虫がクロゲハナアザミウマであると特定。3月25日に日本応用動物昆虫学会の奨励賞を受賞した。既に生産農家用にマニュアルを作成。防除方法の普及拡大に尽力している。
キクは本土の彼岸や正月用に需要があり、県内での出荷量は多く、暖かい気候を利用した栽培が盛んだ。だが、葉に寄生した害虫による被害で価値が落ち、年間被害額は2億円とも試算されていた。
クロゲハナアザミウマは体長1㌢程の害虫。年間を通してキクの葉に食害をもたらす。喜久村さんの研究により、有効な農薬が決まり、適切なタイミングで使用することで効果的な防除が行える。
同学会の奨励賞は将来の発展に期待ができる40歳未満の若手研究者に贈られる。3月末に茨城県で開かれた総会で表彰された。
農林水産部の長嶺豊部長は「効果的な薬剤を決め、効率的な防除ができる成果は大きい」とたたえた。喜久村さんは「受賞で、いろいろな人とつながりが増える。共同研究の可能性が広がる」と喜びを語った。