石垣市議会(平良秀之議長)は6月定例会初日の17日、石垣島平得大俣地区への陸上自衛隊配備計画の是非を問う住民投票条例案を採決し、反対11、賛成8の賛成少数で否決した。与党は陸自配備の必要性を強調し、住民投票に反対する方針を堅持。野党は「住民の判断に任せるべきだ」と住民投票の実施を求め、対立した。同条例案は2月の臨時議会に続く否決で、住民投票は実施されないことが確実な情勢になった。
この日の本会議では、陸自配備に関する特別委員会の長山家康委員長が、特別委で同条例案を否決したことを報告。これを受け、改めて条例案の採決に入った。
野党が次々と反対討論に立った。新垣重雄氏は、住民投票を求める約1万4千人分の署名が集まったことを強調し「(住民投票に反対する)10人の市議の意見が、石垣の将来を左右するのか」と疑問視。花谷史郎氏は「市長は議会で否決されても、住民投票を実施する義務がある」、内原英聡氏は「住民投票を実施する是非ではなく、どのように円滑に実施できるかを議論すべきだ」、長浜信夫氏は「議会が民意を抹殺するのか」と訴えた。
宮良操氏は、住民投票が陸自配備反対運動の一環であるという指摘について「市民にとって最大の侮辱だ」と批判した。
賛成討論に立った友寄永三氏は「1万4千人が署名したと言うが、有権者は約3万9千人いる」、仲間均氏は「平和な島を守るために、今の状況では自衛隊が必要だ」と指摘した。
与党からは石川勇作氏が欠席、石垣達也氏が退席した。野党からは砂川利勝氏が反対に回った。石垣氏は閉会後、報道陣の取材に「公明は中道を貫く立場だ。賛成、反対のいずれにもくみすることはできない」と説明した。
2月の臨時議会では、約1万4千人の署名に基づき、住民の直接請求で上程された同条例案が可否同数となり、平良議長が否決を決定した。野党は3月、陸自配備の賛否を問う選択肢を「賛成」から「容認」に変更し、議員発議で同条例案を提出。同条例案は特別委に付託され、継続審議になっていた。