【視点】最大決戦いよいよ大詰め

 今年最大の政治決戦も、いよいよ大詰めを迎えた。安倍晋三政権の是非、憲法改正、消費増税などが問われ、沖縄では米軍基地問題も争点に、与野党が激しい集票合戦を繰り広げた。衆院選は投開票まであと1日に迫っている。
 台風の影響による投票率の低下が懸念され、県選管は期日前投票の活用を促す異例の呼び掛けを行っている。投票所には確実に足を運びたい。
 選挙期間中に東村で発生した米軍ヘリ炎上事故は、各陣営に衝撃を与えた。県議会は直ちに与野党の全会一致で抗議決議を可決した。しかし米軍は日本政府の飛行自粛要請にもかかわらず、具体的な事故原因や再発防止策を示さないまま、一方的に同型ヘリの飛行を再開した。
 米軍の事故とその後の対応は県民感情を硬化させ、選挙で与党・自民党に不利に働くことは否めない。与党が日米の連携を重視し、日米合意の履行による着実な基地負担軽減を訴えてきたことを考えれば、米軍の行為は自らの首を絞めるに等しい。逆に野党は「米国は約束を守らない」などと勢いづいている。
 4選挙区には12人が立候補した。前回2014年衆院選では野党が全勝し、自民党候補は辛くも比例で復活したが、同じ顔合わせとなる今選挙も、自民党候補が優勢と伝えられる選挙区はない。選挙区で敗れた場合、比例復活が二度続く保証はなく、選挙結果によっては沖縄から政府とのパイプ役がいなくなる事態も現実味を帯びる。
 必死なのは野党も変わらない。米軍普天間飛行場の辺野古移設反対で足並みをそろえ、県民の民意を体現する存在として「オール沖縄」を名乗る。しかし4選挙区のうち一つでも落とせば「オール」を称し続ける根拠が問われるのは間違いない。来年の名護市長選や知事選で勝利するためにも、前回に続き全選挙区を制することが至上命題になる。
 全国的には、辺野古移設の是非は争点になっていない。移設工事は適法とする昨年の最高裁判決で、国と県の対立は最終的な決着を見たとの認識が一般的だからだ。そこに全国と沖縄の大きなズレがある。移設工事は進んでおり、移設の是非が争点であり続ける沖縄の選挙のあり方も今後、問われざるを得ない。
 4区では陸上自衛隊配備の賛非も争点になっている。与党は推進、野党は反対の立場であり、特に石垣市での与野党の得票数は、来年3月の石垣市長選を占う材料になる。
 沖縄では1区の維新候補が唯一、希望の党の推薦で戦っているが、報道各社の世論調査では希望の全国的な伸び悩みが指摘されている。フレッシュさを売り物にした希望だが「安倍一強」打破を叫ぶ小池百合子代表の政権批判が、民進党など従来の野党と大差ないこと、公約の現実性、さらには急ごしらえの候補者擁立といった問題点がある。
 希望が躍進すれば、現実的な安全保障政策を採用する保守二大政党の流れが日本で根付く可能性が高いだけに、今選挙は大きな岐路と言える。
 民進党「ハト派」で結成した立憲民主党が支持を伸ばせば、保守二大政党の流れは阻止される方向になるだろう。
 衆院選後は政界再編の可能性も予想されており、沖縄もいずれは中央政界のうねりに巻き込まれていくことになる。沖縄が今、どのような意思を示すのか。まさしく地域の盛衰に直結する重要な選挙である。

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