石垣島への陸上自衛隊配備計画の是非を問う住民投票を巡り、10日の市議会一般質問では、野党と中山義隆市長が応酬を繰り広げた。中山市長は、石垣市住民投票を求める会(金城龍太郎代表)が提出した約1万4千人の署名に独断で自治基本条例を適用し、住民投票を実施した場合「日本の法制度の崩壊につながる」と批判した。同会は地方自治法に基づいて署名を提出したが、自治基本条例によって市長には住民投票を実施する義務があると主張して19日に提訴する意向。市長の発言は、これに強く反論した形になった。
一般質問では野党の前津究氏が「自治基本条例は最高規範」とした上で「今からでも、自治基本条例に基づく住民投票はできる」と迫った。
自治基本条例では、有権者の4分の1を超える署名で住民投票の請求があった場合、市長は住民投票を実施する義務があると定める。住民投票を求める会が提出した署名数は要件を満たすが、自治基本条例は住民投票に必要な手続きの規定を欠くため、同会は地方自治法の手続きに基づいて住民投票条例の制定を請求。議会で否決された経緯がある。
中山市長は「法治国家の中において(署名は)地方自治法で提出されたので、地方自治法で処理すべき。市長が『今回は自治基本条例でやってみよう』と言うのであれば、日本の法制度の崩壊につながる」と指摘。「今集まった署名に自治基本条例を適用することはできない」と述べた。
前津氏は「自治基本条例を全く無視している発言だ」と反発。地方自治法に基づいて署名を集めても、署名数が4分の1を超えた時点で自治基本条例を適用すべきとの考えを示し「市長が自治基本条例を粗末に扱うなら、いっそ廃止したほうがいい」と挑発した。
中山市長は、住民投票を求める署名が再提出された場合の扱いについて「自治基本条例で新たに署名を集めるなら、自治基本条例で処理する」と明言した。
この日は大濱明彦氏も陸自配備計画を取り上げ「県民も市民も、本土防衛のために十分に尽くしている。(基地負担は)これ以上必要ない」と訴えた。