「公正・中立が欠落」 辺野古訴訟で玉城知事陳述

裁判後、記者会見した玉城知事=18日午後、県庁

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、県の埋め立て承認撤回を取り消す裁決に国土交通相が関与したのは違法だとして、県が裁決取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、福岡高裁那覇支部(大久保正道裁判長)で開かれた。玉城デニー知事は「国交相は内閣の一員として辺野古移設を唯一の解決策とする立場で、判断者の公正・中立という制度の前提が欠落している」と意見陳述した。
 訴訟は即日結審した。判決は10月23日。
 黒いスーツ姿の玉城知事は、険しい表情で書面を読み上げ「不適法な審査請求に対し、結論ありきの裁決で違法だ」と強調。「違法な国の関与に裁判所がお墨付きを与えることになれば、地方自治のみならず法治国家に未来はない」と訴えた。
 県側は、琉球大の徳田博人教授(行政法)の証人尋問を求めたが、大久保裁判長は「必要ない」と認めなかった。
 口頭弁論後、県庁で記者会見した玉城知事は「国民の権利利益の救済を目的とした行政不服審査制度を、国が私人になりすまし、地方に関与する手法がまかり通れば、強制的に意向を押し通すことができる」と批判。
 裁判が即日結審したことについては「関与取り消し訴訟では、国と地方自治体の係争を迅速に処理し、早期解決が期待される。必要な主張や立証はできたと思っている」と述べた。
 県は昨年8月、埋め立て予定海域に軟弱地盤が見つかったことなどを根拠に承認を撤回。防衛省沖縄防衛局が10月、行政不服審査法に基づく審査請求などを申し立て、石井啓一国交相(当時)が今年4月、撤回を取り消す裁決をした。
 県は、国交相は沖縄防衛局と同じ国側で、公正な判断は望めず、裁決関与が地方自治法違反だと主張。国は、裁決は訴訟の対象となる「国の関与」に当たらず、手続きも適法だとして、訴えを却下するよう求めた。
 辺野古移設を巡る県と国の訴訟は過去に6件あり、判決に至った2件はいずれも県敗訴が確定。3件で和解、1件は県が訴えを取り下げている。
 県は、行政事件訴訟法に基づく裁決取り消しも求め、那覇地裁にも提訴。11月26日に第1回口頭弁論が開かれる。

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