組踊上演300周年記念県内巡回公演・国立劇場おきなわおでかけ公演(主催・県、同実行委員会など)が1日夕、石垣市民会館大ホールで開催された。石垣島でのおでかけ公演は初めて。来場した約950人(主催者発表)は組踊の創始者・玉城朝薫五番の一つ「執心鐘入」と、「組踊版・シンデレラ」を心行くまで堪能し、大満足で会場を後にした。
開演早々、組踊版シンデレラでの「セリフなしのお手伝い」を観客から一人募集。最前列から起立して挙手した登野城小学校1年の新里琴羽さん(7)が選ばれ、魔法が掛けられ美しく変身した後のシンデレラ役を見事に務めた。
役目を果たし終えた琴羽さんは「登場までの間、(舞台袖で)魔法使いの人と踊りを練習した。緊張したけど、王子様ともうまく踊れた」と振り返り、「(将来の夢は)踊り。ばあばあの平田弘子琉舞道場の踊り」と力強く答えた。
第1部の組踊版シンデレラでは組踊の約束事や鑑賞ポイントも歌によってユーモラスに伝えられ、コミカルな動きとも相まって、観客からは笑いが起こった。
国立劇場おきなわ組踊研修1期生で、地謡で笛を演奏した入嵩西諭(さとし)さん(34)=新川出身=は「故郷での公演はうれしく、多くの人に来てもらえてありがたい」と公演後の感想を話した。
また八重山高校郷土芸能部の後輩たちへ「卒業して島から出ると芸能から離れがちだが、島の芸能に誇りをもって仕事をやりながらでも続けてほしい」とエールを贈った。
来場した南風盛さん、友寄さん、新里さんの代女性3人は「芸がすばらしく、これを継承してくれているのはありがたい」「初めて見たが、踊りの所作が本当にきれい」「石垣には琴羽さんのような子がいる。将来が楽しみ」と大満足の様子だった。
おでかけ公演は訪れる市町村と共催で2013年から行われ、今回で13回目。石垣島での公演は初めて。
組踊は中国の冊封使(さくほうし)をもてなすため、踊奉行の玉城朝薫が創作したとされ、1719年に初演されてから今年で300周年を迎えた。