日本の政治風土は強力なリーダーを嫌うと言われることがある。安倍晋三首相がいい例かも知れない。首相に就任して数年も経てば「長期政権」と批判され、指導力を発揮して政策を推し進めれば「一強」と罵倒される。他国から見れば奇妙な光景ではないか◆民主主義の手本とされる米国の大統領は、クリントン氏、ブッシュ氏、オバマ氏と、近年はほとんど2期8年在任している。日本の戦後最長は7年8ヵ月の佐藤栄作政権だが、米国から見れば標準サイズに過ぎない◆日本でも地方に行けば十数年の長期政権はざらにある。隣の軍事大国には任期無制限の国家主席が存在する。安倍政権を批判するのに「長期政権だから」という理由は明らかに当たらない◆「一強」は「独裁」という意味なのか。数度の国政選挙で信任された政権に対して使うのに、適当な言葉だとは思えない。この言葉を使う人は、1年ごとに交代を余儀なくされるような弱いリーダーを渇望しているのだろうか。安倍政権と対峙するなら、言葉遊びではなく堂々と政策論争をする必要がある◆今夏の参院選の結果しだいでは、安倍政権は11月にも憲政史上最長に到達する。誰が首相であるにせよ、沖縄の基地負担軽減は、安定政権でなくては成し遂げられない。