【視点】男性の育休 まだ厳しい現実

 「検討していますと言っただけで、賛否両論を含めて騒ぎになるということが、日本って堅いね。古いね」
 小泉進次郎環境相が育休取得を検討していることが波紋を呼んでいる。小泉氏は11日、官邸で冒頭の発言をした。男性が胸を張って育休を取れる社会の実現に向け、小泉氏の言動が一石を投じたのは事実で、そのことは評価したい。
 全国6千余りの事業所を対象にした厚労省の調査によると、2018年度の育休取得率は女性82・2%に対し、男性6・16%にとどまっている。政府は2020年に男性の育休取得率を13%とする目標を掲げているが、遠く及ばない現状だ。
 女性の社会進出が進み、女性の育休取得は一般的になった。しかし2人目、3人目の子どもを産むことで育休が繰り返されると、昨今の人手不足の中、企業側の負担感は増すばかりだ。そうなると女性としても、2人以上の子どもを持つことには二の足を踏まざるを得ない。少子化に拍車が掛かってしまう結果になる。
 女性が2人目、3人目の子どもを産んだ場合、例えば夫と妻と交互に育休を取得すれば、女性が長期にわたって職場を離れるデメリットを最小限に抑えられる。少子化に歯止めを掛けるためにも、男性の育休取得を促進することが必要だ。
 ただ、企業側や男性側の意識もさることながら、中小零細企業では現実的に男性の育休取得は厳しい。人手不足もさることながら、各職場ではまだ女性より男性が職責の重いポジションにいることが多く、人手不足が深刻化する中、長期の休みは取りにくいのが実情だ。男性の育休に冷たい視線が送られるのも事実であり、理想論だけではどうにもならない。

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