県は28日、首里城復興基本方針に関する有識者懇談会(会長・下地芳郎沖縄コンベンションビューロー会長)の初会合を首里社館で開き、歴史、文化、観光の専門家8人が議論した。
玉城デニー知事は冒頭、「委員の皆様のご意見をうかがいながら、今年度中に首里城復興基本方針を取りまとめ、早期復旧・復興に向け取り組んでいきたい」とあいさつした。「数多くの支援が寄せられ、復旧を願うすべての人々の励みになっている」とも強調した。
首里城の活用について委員からは、観光地として「見る」だけではなく「どう使うか」という視点で再建に取り組むべきとの意見が出た。具体的には「経世門を核とする周遊ルートの活用」「32軍壕の歴史学習への活用」「組踊や伝統芸能を見せる施設としての整備」などが挙がった。
消失前に展示室として使われていた南殿やミュージアムショップもあった北殿の使い方について「南殿にあった収蔵庫を防災上の観点から、首里城のエリア内から出して保管してはどうか」「南殿、北殿の使い方を改めて検討すべきでは」との声も出た。
県民の関心を継続するための取り組みについては「小中学生に復元工事中の行程を見せ、学習の機会にしては」という提案もあった。
下地会長は「新しい時代の首里城について議論し、観光の対象エリア拡大や、文化の復興について次回以降議論していきたい」と述べた。有識者会議の副会長には名桜大学の波照間永吉教授が選ばれた。
有識者懇談会では年度内に3回開催される予定。
県は、1992年の沖縄復帰20周年を記念して主要施設を復元した前回計画の踏襲を原則とし、防火対策の強化も柱とする基本方針を既に決定している。