陸自配備計画そのものは、現在までは、ある程度順調に進捗(しんちょく)してきた。防衛省が取得済みの旧民有地の部分では、用地造成工事が2019年3月1日から始まっており、ちょうど1年を迎える。
配備に協力的な中山市長が2018年の市長選で3選され、同年の市議選で与党が多数を占めたことが大きな推進力になった。ただ反対派は自治基本条例に基づく住民投票の実施を求め、裁判闘争に突入している。こうした中で市有地の売却は、計画の大きな山場とも言える局面だ。
防衛省は南西諸島防衛を強化するため、奄美、宮古、石垣、与那国の各島に陸自の地対空、地対艦ミサイル部隊を配備し、他国の侵攻に備える体制の構築を図ってきた。特に石垣島は、中国が領海侵入を繰り返す尖閣諸島周辺にも近く、扇のかなめのように重要な地域であり、いずれ配備は避けられない。
配備されれば島が標的になるという主張があるが、東シナ海での権益拡大を目指す中国の動きが露骨さを増す中で、住民の生命、財産に責任を持つ政府が何もしないという選択肢は有り得ない。中国との平和外交は当然のこととして進めながら、万一への備えを固めることには何の問題もない。
市議会で市有地売却の議案が可決されるかどうかは気がかりなところだが、いずれにせよ、政府としては石垣島への陸自配備計画を着実に進めなくてはならない。