竹富島の自然保護活動の財源確保を図るとして、島に入る旅行者らから1人300円の入島料の支払いを受ける制度で、実際に納めた人は旅行者の1割台にとどまることが分かった。収入不足を招いて十分な活動ができず、町は旅行者の理解を得られるPRに躍起になっている。
制度を運営する竹富島地域自然資産財団によると、今年1月の入島料の支払い率は13%。旅行者ら100人のうち13人しか提供しなかった計算だ。他の月も1割台で推移し、制度の始まった昨年9月から今年2月までの6カ間の総収入は計約750万円に低迷している。
町は当初、旅行者らの7割が支払うと見込んでいたが、予想を大きく下回った。不振の理由について町と財団は制度が知られていなかったり、竹富島に向かう船の運賃に入島料が含まれていると誤解されたりしていることを挙げている。
収入は島の海浜清掃やサンゴの保全、耕作放棄地の再生、環境教育など24の活動の財源に充てる。現状は収入不足で活動が海浜清掃や除草、農作物の植え付けなど一部に限られている。
入島料は石垣島と竹富島の定期船ターミナルに券売機が置かれ、入島者は船に乗降する際、運賃とは別に券を買って入島料を支払う。支払いは義務ではなく、制度の趣旨に賛同した人が協力金として任意で納める。
町は竹富港に制度を告知する横断幕を掲げたほか、日本トランスオーシャン航空の沖縄便の機内誌にPR広告を載せ、周知を図っている。島内の宿泊施設、飲食店、土産店でも入島料が支払える仕組みにもした。
入島料は地域自然資産法に基づき、島の自然保護活動を充実させる財源を得る目的で制度化した。鹿児島県の屋久島の先例がある。
町政策推進課は「竹富島の入島者は年間約40万人。見込み通り7割の人が入島料を支払ってくれれば活動を充実させられる。周知に努めて理解を得たい」と話している。