久米島町で父子のDNAが一致しない肉用牛が見つかった問題について玉城デニー知事は13日午前、県庁で開いた定例会見で、「マスコミ報道があり、農林水産部から説明があった」と述べ、報道まで把握していなかったことを明らかにした。
県当局は2月14日に関係機関から報告を受けたが、自身への報告は今月12日まで遅れたという。知事は問題発覚を受けて全庁会議を開催し、各部局の危機管理体制を確認するよう指示した。「県政の極めて重要な事案。JAなどの関係機関と連携し、信頼回復に取り組む」と話した。
父子のDNA不一致は、久米島町の家畜人工授精師が担当した牛で見つかった。
県は10件のDNA不一致が確認されたと発表。授精師に対し、2月23日に現地で立ち入り検査を実施した。家畜人工授精簿などの記録に不備が多数見つかったため、家畜改良増殖法に基づき、行政指導を行った。県は今後、県内全ての家畜人工授精師に同法違反がないかを調べる。
玉城知事は「当該授精師が人工授精した肉用牛についてDNA検査を行い、結果を提供するよう久米島和牛改良組合に指導した」と説明。家畜市場を運営するJA久米島支店には「県から当該授精師が種付けした子牛の検査終了まで出荷を自粛するよう申し入れた」と述べた。
県が農水省に事態を報告したのは3月11日だった。報告が遅れたとの指摘に玉城知事は「事務決済は統括監や課長が行い、事務を分担しているが、上司判断が必要なら確認するように言っている」と述べるにとどめた。