大嵩地区農地で散水 国営事業、西部初の供用開始

山崎氏が開栓し散水が始まり拍手が沸き起こった=19日午前、大嵩地区(川平)

 2021年から着工していた国営かんがい排水事業「石垣島地区」で19日、大嵩地区(川平)の新規受益農地に農業用水の供用が開始された。2014年から実施する国営事業(2期)で、石垣市西部地区での供用開始は初めて。
 石垣島は底原ダムなど4ヶ所ダムの運用で農業用水が確保されているが、末端かんがい施設が未整備の地域では、干ばつ被害が多発している。
 西部地区では2021年度から3年かけ、排水施設8・5㌶(11戸)、農業用道路814・8㍍(9戸)の工事が進んでいた。
 19日に大嵩地区の新規受益農地で「散水式」が開催され、市や沖縄総合事務局など関係者らが出席した。給水栓のパイプが開栓され、農地への散水が始まると、拍手が沸き起こった。
 散水式会場を提供した受益農家の山崎雄一郎氏さんは、これまで水道から農地に水を引いていた。「作業の手間が半分以下になる。ありがたい」と言葉に感慨を込めた。
 山崎さんの農地ではマンゴーを中心にパイン、サトウキビを栽培。4棟からなるビニールハウスでも散水が始まった。マンゴーは6月末~7月中に収穫を予定している。
 大嵩公民館の根間章館長によると、地区では住民の大半が農家だが、干ばつなどで作物が育たないことが多々あり、畜産業に転身する事業者もいたという。「水が届くようになれば、安心して農業を始められる。若い人も戻って来てくれるのでは」と期待した。
 中山義隆市長は「今後も大嵩地区が優良農地として、計画的な営農が営まれることを期待する」とあいさつした。

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