県内の米軍基地の整理、縮小を有識者で検討してきた米軍基地問題に関する万国津梁会議(委員長・柳澤協二元内閣官房副長官補)は26日、第4回会合を那覇市内で開き。米海兵隊の訓練を県外の自衛隊基地などに分散することで、普天間飛行場(宜野湾市)の段階的返還を目指すべきだとする提言をまとめ、玉城デニー知事に手渡した。知事は政府に内容を伝え、議論を促す方針だ。
提言は普天間の名護市辺野古移設について、埋め立て予定海域で軟弱地盤が見つかり技術的、財政的に困難だと指摘した。普天間の危険性除去のため、海兵隊を県外の自衛隊基地やアジア太平洋地域に分散移転したりローテーション配備したりすることで、運用停止につなげるべきだとした。
米軍は中国のミサイル能力の向上を受け、小規模部隊を分散させる新たな戦略を構想しており、提言は県内の兵力集中を見直す契機だと主張する。日米と沖縄の有識者で普天間返還を議論し、県は新たな打開策を見いだす必要性を日米にアピールするべきだと訴えた。
沖縄の目指す将来像を「アジア太平洋における緊張緩和・信頼醸成のための結節点」と表現。全国で基地負担を議論する機運醸成の必要性にも言及した。
玉城氏は会合で「日本を取り巻く安全保障環境や米軍の戦略の変化を踏まえた形で提言をまとめたことは画期的だ。政策に取り入れたい」と述べた。米国での世論喚起に活用することも検討する。
柳沢委員長は「県民の意思は明確だが、政治的な力関係の中でどう動かすか。容易ではないが、状況の変化の中で今がチャンスだ」と期待した。
会議は昨年5月に設置され、学識者ら7人で構成する。4月以降、日米地位協定の見直しなどにも議論を進める。会議終了後、柳澤委員長は報道陣に「今回の(提言)を総論とすると、米軍の戦略見直しの変化など踏まえ、今後は各論をフォローしていく」と説明した。