普天間飛行場の辺野古移設を巡り、県の埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決は違法として県が取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷は県の上告を棄却し、県の敗訴が確定した。
辺野古移設に関する訴訟では、これまでも県の敗訴が続いており、今回の判決もその延長線上にある。県は果てしない法廷闘争に見切りをつけ、移設に協力する姿勢に転じるべき時ではないか。
玉城デニー知事は「民主主義の土台となる地方自治の理念に反し、将来の国と地方公共団体の在り方に禍根を残す」と判決を疑問視した。
県はこの訴訟とは別に、行政事件訴訟法に基づき、埋め立て承認撤回の適法性を争う訴訟も審理中だ。辺野古沿岸で見つかった軟弱地盤の改良工事に向け、国が近く行う設計変更申請も認めない方針で、この問題も裁判に発展する可能性が大きい。
知事は辺野古阻止を掲げて当選し、県民投票でも辺野古埋め立て反対が7割を占めている。政治家として公約実現を目指す姿勢は当然だ。しかし、裁判をその手段に選ぶことには疑念がつきまとう。
行政裁判は元来、一般人と行政機関の対立を想定しており、司法が超越的な立場に立って、行政機関同士を仲裁するための制度ではない。国と自治体のトラブルは、トップが政治的に解決すべきであり、交渉が失敗し、一方が司法の介入を要請せざるを得ない状況に陥ること自体、双方にとって政治的な失態だ。