県内で新型コロナウイルスの感染拡大が加速してきた。21日以降、ほぼ連日新たな感染者が確認されており、28日には初めて1日で2人の感染確認が発表された。東京、大阪など大都市圏での感染拡大が、じわじわと沖縄にも波及している可能性があり、専門家は「流行が始まりつつある」と事態を深刻に受け止めている。
「今後も、県内にウイルスが持ち込まれるリスクが高くなることが考えられる」―。27日の記者会見で玉城デニー知事は、県外・国外から戻った県民や来県者に対し、感染予防に注意を払うよう呼び掛けた。
県内の感染者は2月20日までに3人が確認され、うち2人が那覇に寄港したクルーズ船の乗客を案内したタクシー運転手。別の1人は感染経路が不明だったが、感染源はクルーズ船だけにほぼ特定された。その後、約1カ月間は新たな感染者は確認されず、感染拡大は一段落したと見られていた。
しかし今月21日以降、成田空港での検疫で感染が確認されたスペイン帰りの女性を皮切りに、ウイルスが県外・海外から持ち込まれたと見られる事例が相次いだ。感染者数は28日までのおよそ1週間で8人、空港検疫で確認された女性を含めると9人となり、先月の3倍に膨らんだ。
東京の感染者が300人を超えるなど、大都市圏での感染拡大が深刻の度を増しているが、沖縄は本島だけでなく離島の宮古島、石垣島も東京など大都市圏との直行便があり、人流や物流を完全に止めることは不可能。本島、離島を問わずウイルスの侵入リスクは高まりつつある。
県医師会の宮里達也副会長は「現在は感染経路を追えているので、まだ大流行ではないが、流行が始まりつつある」と沖縄の現状を分析。「従来のように、1カ月間も感染者が出ずに落ち着くような状況は、もう考えにくい。かなり厳しい」と述べ、今後も感染者の増加が続くとの見通しを示した。
離島の宮古、八重山についても、感染者の発生は「時間の問題ではないか」と危惧。県の対策としては、医療崩壊を防ぐため、感染拡大の速度をコントロールすることを目指す以外にないとの認識も示した。