大川にある県立旧八重山病院の解体工事を予定通り新年度中に着手することにしているが、新型コロナウイルスの感染者が八重山で発生した場合、旧病院を活用することは困難だとしている。
同事業局によると、八重山の感染症指定医療機関である県立八重山病院には感染症対応のベッドが3床しかない。このため、八重山保健所では「3床を超えた場合を想定して、医師会や民間の医療機関と緊急時に備え、協議している。
その際、施設規模が大きい旧病院の活用が考えられるが、「機材も全て撤去し、衛生状態もよくないので、感染者を収容する場所として使うのは困難」(上間浩・同事業局経営課施設整備ICT推進班長)としている。
旧病院の解体工事は当初、2019年度下半期(10~3月)に予定していたが、設計業務の積算など、諸般の事情で2020年度に先送りされていた。
今後は5月中に工事の入札公告を行い、契約後、8月ごろ解体工事に着手し、来年夏に工事を完了する予定。
旧病院の跡地利用を巡っては、かりゆし病院を運営する医療法人上善会(橋本孝来理事長)が昨年秋、新築移転先として正式に表明。八重山の医療を守る郡民の会や市議会も「移転先として旧病院跡地がベストだ」と後押ししている。同事業局では「手順を踏んだ上で、競争相手がいなければ上善会と売買契約を結ぶことになる」と話している。
かりゆし病院は築22年が経過、老朽化が進んでいるうえ、事業の拡大に伴い、手狭になるなど課題が山積し、新築移転は待ったなしだ。
真栄里の新病院から遠い大川以西の住民からも「便利になる」と期待の声が大きい。
橋本理事長は「向こう4~5年のうちに旧八重山病院跡地に新築移転する方針を立てた。島北部や離島からのアクセスが良いことや十分な医療サービスを提供するスペースが確保できる。健康福祉センターにも近く、災害時には持病がある人や高齢者など災害弱者に多様な手を差し伸べることができる」と話している。(南風原英和)