SNS「島に来ないで」相次ぐ 観光業界は複雑「死活問題」 新型コロナ

フォロワー5千人以上の人気インスタグラマーの投稿。石垣島には新型コロナウイルスの検査体制がないと訴えている=本人提供

 新型コロナウイルスの感染者が県外から八重山を訪れる「移入例」を懸念した地元住民が、SNS上で悲鳴を上げている。ブログ、インスタグラム、ツイッターで観光客に対し「来ないで」という趣旨の投稿をアップし「離島には十分な医療がありません」と来島自粛を訴えている。一方、観光業界は「来島自粛と言われても、観光客が来ないと業界は死活問題になる」と複雑な心境をのぞかせる。
 安心安全な観光地として八重山を選び「コロナ疎開」する観光客が増えているとの報道に対し、地元住民のツイッターでは、「コロナ騒ぎの中、石垣島が人気だと!?」「感染者が出たら内地以上に大変になる。住民に逃げ場はない。病院の少ない島やし医療崩壊はすぐに起こる」「病室も呼吸器も他県より圧倒的に少ないです」などのツイートが見られる。

 あるブログでは、親子3世代の観光客がマスクを着用せず、観光業のスタッフの面前で、手で口を押さえずに、くしゃみやせきをしていたと指摘。「こんな光景、普通に見かけます」と危惧した。
 別のブログでは、旅行を自粛してもらいたい理由に離島の医療体制のもろさを挙げた。「人口5万人に対して感染者受け入れ病床は3床のみ」「体調が悪くても検査依頼をする人はほぼ皆無」と嘆いた。
 インスタグラムでも、旅行自粛を訴える投稿が目立つ。「石垣島に行くのはやめてください」「どうか自分が保菌者でないという過信をしないでください」「私たちにも大切な家族がいます」「沖縄はコロナいない=マスク不要という考えをやめて」などと記されている。
 一方、減便や運休が相次ぐ航空業界の関係者は「理解はできるが、きつい。航空業界は運んでなんぼの世界」と嘆いた。マリン業者の一人は「難しい。来てくれないと(経済的に)潤わないが、ウイルスを持ち込まれたら一気に観光客がいなくなる。自分がうつるのも怖い」とこぼした。
 あるホテル業関係者は「現在、八重山を訪れる観光客は若者が多く、安価な民宿に泊まるなど費用を節約する傾向があり、観光客が一時的に増えたからと言って観光業全体が潤っているわけでもない。『来るな』と発信されると厳しい」と打ち明けた。
 3月31日には中山義隆石垣市長が記者会見を開き、SNSで「南の島は安全」などの情報が拡散していることから、体調不良者への来島自粛を呼び掛けた。(渡部節子)

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