県内での新型コロナウイルスの感染確認が、1日では初となる二桁に達した。感染経路の分からない人も増加傾向にあり、さらなる感染拡大は不可避と見られる。今後の患者数の推移によっては「感染爆発」の懸念も現実味を帯びる。県民への外出自粛要請、観光客などへの来県自粛要請が出る可能性も想定され、沖縄は正念場とも言える局面を迎えた。
7日現在、県内の感染者数は34人で、九州8県では緊急事態宣言が発令された福岡県に次ぐ規模となった。1日に12人の感染確認も、突出している東京や大阪を除き、大都市圏に匹敵する多さ。沖縄本島の感染拡大が急激なペースで進んでいることをうかがわせる。
最近の感染者を見ると、流行が本格化した大都市圏から旅行や仕事で来県した人がウイルスを持ち込んだと見られる事例が多い。沖縄が国内有数の観光地であることが逆に感染の急拡大を招く結果になったと見られる。
政府の専門家会議は、全国を「感染未確認地域」「感染確認地域」「感染拡大警戒地域」の三つに区分しており、玉城デニー知事は「沖縄県は感染確認地域から感染拡大警戒地域に移行している可能性がある」と述べた。
感染拡大警戒地域は、感染者数が1週間前に比べ、大幅に増加しているものの、オーバーシュート(感染爆発)には至っていない地域。現時点で東京や大阪が該当しており、専門家会議は、自治体に期間を定めた外出自粛要請を出すことを求めている。
県医師会の宮里達也副会長は「感染者数が倍々ゲームになってきているので、相当緊張感を持たないといけない。流行が始まっているのは間違いない」と指摘。オーバーシュートが起きる可能性については「あす、あさっての推移を見ないといけないが、可能性はある」と警鐘を鳴らした。
一方、県立中部病院の臨床医、髙山義浩医師は、患者の多くが移入例であることを理由に「市中での流行が起き始めていると捉えるべきではない」と慎重な見方を示す。ただ、「どこで感染したか分からない人は出始めている。十分警戒しないといけない」と危機感を示した。
感染者が今後も増え続けた場合、最大の懸念事項は、感染者が殺到することで病院が麻痺状態に陥る「医療崩壊」。県内の感染症指定医療機関の対応病床は24床しかなく、協力する民間医療機関を含めても40床。既に現時点で限界点に達しつつある。離島の宮古、八重山は3床ずつしかない。
懸念の声に対し、県医師会は7日の記者会見で、現場の医療体制に問題はないと強調した。