今後、感染者が200人、300人と増加することを想定した対策が必要だ。まずは医療現場を守ることが最優先である。医療現場が重症者の治療に専念できるように、軽症者を収容する施設の拡充を進めなくてはならない。現在、県が那覇市で確保した50人の宿泊施設だけでは不十分だ。
死者は20日時点で3人に増えたが、重症者に対する医療が追い付かないほど感染者が増え、本来受けられるはずの治療が行き届かなくなるのが「医療崩壊」である。
この状況になると連日のように死者が続出し、目も当てられない惨状となることを米国やイタリアの例が示している。医療体制が脆弱な沖縄は、その一歩手前の危険な状況にある。
専門家によると、ウイルスが流行の段階に入ってしまうと、感染拡大を食い止めることは難しい。拡大のペースを遅らせることで、医療崩壊を防ぐ取り組みの時間を稼ぐことしかできない。
連日感染者が確認されている状況を見ると、少なくとも沖縄本島は、もはやそのような段階に入ったように感じる。県は店舗に対する営業自粛や補償に関する方針を22日に発表するが、タイミングとしては遅過ぎると思わざるを得ない。
離島の八重山の医療は、沖縄本島よりさらに危うい。石垣市は既に判明している感染者の濃厚接触者が100人以上に上る可能性があるとして、16日、独自の緊急事態宣言を発した。2週間の外出自粛や、感染者に接触した人の外出禁止などを呼び掛けている。
目抜き通りの人通りはだいぶ減ったが、車の数は多く、外出自粛が行き届いているとは思えない。一層の引き締めを図りたい。