石垣島土地改良区(理事長・中山義隆市長)の未収賦課金に時効で請求権が消滅した賦課金が含まれるにもかかわらず、土地改良区が徴収不能であることを認定する不納欠損処分を行っていないことが16日分かった。石垣市議会一般質問で野党の砂川利勝氏が指摘し、時効成立後も農家に督促状を送付したと思われるケースがあるとして「法律を曲げてまで徴収するのか」と疑問視した。中山市長は「(農家の)長年の負債が不納欠損せずに残っていることは確かだが、関係省庁と相談しながら適切に対応したい」と述べた。
棚原長武農水部長によると、未収賦課金は約12億1100万円。請求権は5年で消滅するが、時効は督促によって1回しか中断できない。時効で請求権が消滅した賦課金額について棚原部長は「総代会でも公表していない」として答弁を控えた。
不納欠損処分を行ったことは「これまでないと認識している」と述べた。賦課金徴収事務は国税、市税などの徴収事務に準じて行われているが、知念永一郎総務部長は、時効で請求権が消滅した市税は不納欠損処分していると報告した。
砂川氏は、1992年の特別賦課金に対して農家に届いた督促状を示し「本当にこれが正常なのか。努力を怠った中での出来事ではないか」と批判。砂川氏によると、この督促状は昨年、土地改良区から届いたという。棚原部長は「その事例について詳しくは知らない。法律に基づいて徴収業務がされるものと認識している」と答えた。
消滅時効が成立した賦課金については「徴収することはできない」としたが、農家が自発的に支払った場合の受納は可能で「賦課金以外の収入で処理する」と述べた。