玉城デニー知事が26日、新型コロナウイルスの水際対策を強化する「旅行者専用相談センター」(TACO)の分室を将来的に新石垣、宮古空港に設置する方針を示した。県は当初、離島空港への設置を当面見送る考えだったが、八重山住民が「離島軽視」と反発した。知事発言は〝火消し〟を図った形。新型コロナウイルス対策は医療体制が脆弱な離島ではとりわけ重要な課題となっている。県政には本島優先一辺倒ではなく、離島にも細かく目配りする姿勢が求められそうだ。
石垣市は当初から離島空港へのTACO設置を県に要望してきたが、県は那覇空港へのTACO設置を優先した。石垣市議会は6月定例会で、新石垣空港へのTACO設置を求める意見書を全会一致で可決。中山義隆市長も離島空港へのTACO設置見送りを県に抗議していた。
中山市長は26日、知事の発言について「宮古、石垣でも、既に本土直行便の運航が始まっている。『那覇空港の状況を見ながら設置する』と言うのでは、スピードが問われる。TACOの設置を言ってもらったのはありがたいが、やると決めたら、すぐやってもらわないと不安だ」と訴えた。
市は空港に職員を配置し、体調不良の旅行者が出た場合に対応できる臨時的な体制を構築しているという。
市議会の平良秀之議長は離島空港へのTACO設置について「県には離島でも早めに対応してほしかった。東京では今も感染者が出ており、水際対策は重要。離島は本島と違って病院も、医療従事者の数も少ない」と指摘した。