日本沖縄政策研究フォーラム(仲村覚理事長)は28日午後、那覇市内で「アフターコロナの尖閣・沖縄防衛」と題し報告会を開催した。中国海警局の船が尖閣諸島周辺の海域で漁船を追尾した問題や、中国政府の外交戦略を仲村氏や石垣市の砥板芳行市議が説明。「沖縄日台経済安全保障研究会(仮称)」を設立し、中国による県内経済への侵略リスクの研究と県民への広報、日台経済交流の深化による対抗策を政府に要請することも決まった。【別稿2つ】
仲村氏は中国には尖閣諸島だけでなく沖縄全域を侵略する意図があると危惧。5月の中国報道官による発言や2012年7月末の新聞記事を引用し、中国は戦後に日本が主権を回復したサンフランシスコ講和条約を認めず、琉球諸島は日本に属さないと主張していると指摘した。
また、中国はカイロ宣言で日本が中華民国に返還すべきとされた澎湖諸島に琉球諸島も含まれると勝手に解釈していると強調。合わせて同国は、ポツダム宣言を日本に受諾させた連合国に自国も含まれており、日米間で締結した沖縄返還交渉も無効だと主張していると紹介。その上で、同国の主張は、日中共同声明の締結時に日本の外務省が提案した文面に起因していると指摘し、同声明や中国メディアの報道を問題視した。
仲村氏は続けて、中国による沖縄侵略工作を分析。同国は尖閣実行支配を既成事実化し、米軍基地問題を利用して国と沖縄の対立をあおり、自己決定権の獲得闘争に向かわせるとした。
仲村氏は新型コロナウイルス感染症のまん延後「沖縄経済の復興は脱中国の千載一隅のチャンスだ。感染拡大を抑え込んだ台湾との経済交流を深めるべき」と提言。対中国の経済安全保障を進めるため「県民の安全保障意識を高め、政府に提言するスキーム構築を急ぐべき」と力を込めた。
報告会では、決議文も採択され、尖閣諸島の領土主権を紹介する展示館を県内に開設し、県内小中高生・修学旅行生が見学するよう県や政府に要望することが決議された。