海保「接近に当たらず」 関係者「見て見ぬ振り」と批判 尖閣沖での中国公船の漁船追尾

尖閣沖を併走航行する(手前から)桜丸、巡視船、中国公船(日本文化チャンネル桜公式ユーチューブより)

 尖閣諸島(石垣市)沖で八重山漁協所属の漁船「第1桜丸」と「恵美丸」に中国公船が接近して追尾した事案で、海上保安庁は八重山日報の取材に対し「接近に当たらない」とする見解を明らかにした。関係者は「中国船の威嚇行為を見て見ぬ振りし、非常に問題」と批判している。

 海上保安庁政策評価広報室は取材に「中国公船が接近する動きを見せ(海保の)巡視船が間に入るなどして阻止したので接近された認識はない」と述べた。
 事案は6月21日、桜丸と恵美丸が尖閣沖の領海で操業後、接続水域で4時間近く4隻の中国公船の接近を受けた。漁船は翌22日に石垣市の登野城漁港に戻っている。
 恵美丸の船長砂川幸徳さん(56)=登野城=の話では、中国公船が前方左右から2隻ずつ進路をふさぐように近づき、海保の巡視船が間に入って遮り、巡視船を挟んで併走したという。
 恵美丸から撮った動画には手前から桜丸、巡視船、中国公船の順に並んで航行するもようが映っている。
 砂川さんは「感覚的には数百㍍まで迫ってきた。あれを接近と言わずして何を接近と言うのか。現場では巡視船が守ってくれて心強かっただけに残念だ」と話す。
 桜丸の関係者は「中国公船の威嚇行為をなかったものとする見解で非常に問題だ。領有権と漁の安全に直結する事柄で海保の見識を疑う」と反発している。
 海上保安庁は5月に与那国漁協所属の漁船「瑞宝丸」が尖閣沖の領海で中国公船に追い回された際は接近、追尾の事実を告げる広報文を3度発表し、今回の対応と違いが出ている。

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