補助事業「活用難しい」 新工場建設で見直し要望 石垣島製糖

インタビューに応じる松林社長=2日午後、石垣島製糖

 石垣島製糖株式会社の松林豊社長(68)は2日、八重山日報の取材に応じ、新工場建設に向けた国の補助事業「産地パワーアップ事業」について、事業費の負担が重いことを理由に「活用は難しい」と指摘。制度の見直しか、新たな補助事業の導入を要望する考えを示した。

 同社は新工場建設の事業費を約260億円と見込むが、産地パワーアップ事業を導入した場合、同社が事業費の2割を負担することになる。同社は市に事業主体になるよう働きかけていたが、市も事業費負担が多額に上ることから、応じない考え。松林社長は同事業について「制度を抜本的に改めないと活用できない」と述べた。
 国は新工場建設ではなく、年次的な設備の改修で対応するよう提案している。だが松林社長は「建物の基礎部分も老朽化が進んでいる」と難色を示しており、既に国にも考えを伝えたと説明した。
 現工場の設備も老朽化が進んでおり、このうち、バルブの開閉などに使われる自動制御装置はメーカーに修繕用の部品もないため、取り換えが必要だという。
 費用は約4億円に達すると見られ、松林社長は「あくまで新工場建設が目標だが、操業を止めないためには、設備投資も検討しなくてはならない」と指摘。年末までに取り換えの可否を決断する考えを示した。
 新工場建設の目的として①現工場の老朽化②処理能力の向上③働き方改革に対応した施設整備―を挙げた。
 6月30日には、県が同社、市、JAなどで組織する「県分蜜糖製糖工場安定操業対策検討会議」を八重山合同庁舎で開催。松林社長によると、新工場建設を目指す基本方針で一致した。今後、2カ月に1回程度の会合を重ねる方針という。
 松林社長は「施設の改修では抜本的解決にならず、新工場建設はあきらめていない。県も理解を示している」と今後の展開に期待感を示した。

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