八重山漁協所属のカツオ漁船「第1源丸」が10日、今期初めて出漁する。漁期は6月初めに始まったが、新型コロナウイルス感染拡大による航空物流の停滞で漁を見合わせていた。源丸は同漁協唯一のカツオ船で地元カツオ漁の存亡の鍵を握り、漁業関係者は「漁の火が消えずに良かった」と胸をなで下ろしている。
源丸は石垣市の「マルゲン水産」が所有する。物流、販売の調整が済み、出漁の準備が整った。南洋で操業し、石垣漁港に水揚げする。
漁獲量は2~3㌧を見込む。主な消費地は沖縄本島で空路で那覇に運び、残りを地元消費、加工用に回す。
カツオ漁の漁期は6~10月。八重山漁協所属のカツオ船は源丸のみで昨期は1隻で計33㌧を水揚げした。
今期はコロナによる飛行機の減便で本島輸送のめどが立たず、出航を1カ月間自重していた。
その結果、石垣漁港へのカツオの水揚げは現時点でゼロ。源丸の動向が地元カツオ漁の命運を左右していた。
かつてはカツオ船は数十隻あったが、鰹節の加工場が減るなどの影響で撤退が相次ぎ、数年前から源丸を残すだけとなっていた。
同社の上地肇社長は「カツオは比較的安く漁業者にとって採算性の高い魚ではないが、庶民の味を守るために漁は続ける」と話す。
漁業関係者は「カツオ漁を志す若い漁業者が出るまで続けてほしい」とエールを送っている。