石垣市が、県外から転入してきたDV(ドメスティック・バイオレンス、配偶者からの暴力)被害者の女性に対する支援マニュアルの履行を怠ったため、女性の現住所が元夫に通知されていたことが29日までに分かった。市はミスを認め、女性に解決金30万円を支払うことで合意した。現時点で女性に実害は及んでいないが、市は「再発防止に向け、マニュアルの適切な執行や一部見直しを進めたい」と話している。
市役所市民課によると、女性は今年4月下旬、市内に転入し、同課にDV被害の支援を申請。現住所を外部に漏らさないことなどを求めた。市のDV支援マニュアルでは、被害者に関する情報提供を制限する措置を取るため、職員が前住所の自治体に対し、女性が支援対象者であることを連絡することになっていた。
しかし担当職員が連絡を忘れたため、前住所の自治体が5月15日、元夫に送付した行政文書に、女性の現住所が記載されてしまったという。
前住所の自治体のDV支援担当者からの連絡で、同17日に市のミスが発覚。市の担当職員が女性に事実を伝え、謝罪した。元夫から女性への接触はないが、女性は「不安を感じる」などと訴えたという。
その後、弁護士を交えた双方の話し合いで、市が女性の再転居費用を含む解決金を支払うことが決まった。
市は30日開会する市議会9月定例会に、解決金の支払いに関する専決処分を報告する。
同課の内原英政課長は「DV支援マニュアルの手順を数人体制で二重三重にチェックするなど、再発防止に向けた取り組みを進めたい。ミスがないよう、緊張感をもって業務に当たる」と強調した。
市はDV被害者の支援マニュアルを2017年に策定した。今回の問題まで、支援対象者を巡るトラブルはなかったという。