終戦間際の1945年7月3日に起きた「尖閣列島戦時遭難事件」の今年の慰霊祭が3日、石垣市舟蔵の慰霊之碑で営まれた。戦後75年の節目を迎える中、新型コロナウイルスの影響で縮小開催となった。
遭難者遺族会の主催で今年で19回目。感染症で参列者を会の役員ら十数人に絞って行った。住職が読経し、参列者が焼香して死者を悼んだ。
玻名城健雄会長が「コロナで開催が危ぶまれたが、生還者も年を重ねて参列する人も減り、一度見送ったら次の年に開けなくなると思い、必ず開催すると決めていた」と述べた。
母と曾祖父母が乗船し、曾祖父母が死亡して母が生還した大川の無職女性(70)は「母は当時の体験が辛かったのか詳しいことは話さなかった。その母も10年前に90歳で亡くなり、遺志を継いで毎年参列している」と話した。
事件は石垣島の180人を乗せて尖閣列島に向かった2隻の疎開船が米軍の空爆を受け、1隻が沈没し、もう1隻が魚釣島に漂着して多数の死者が出た。一部の人は生存して帰還したが、年月の経過とともに他界する人が増えている。