新工場建設を目指す石垣島製糖(松林豊社長)は、2022年度から始まる新たな沖縄振興計画で国に高率補助制度の創設を求める考えだ。現在、国が補助事業として提示している「産地パワーアップ事業」は事業主体の財政負担が大きく、事実上活用は不可能との判断が背景にある。同社は関係機関も巻き込み、年明け以降、国や県への働き掛けを強めたい考え。
県は、今月まとめた新たな沖縄振興計画のための制度提言中間報告案で、新工場建設の事業費について「極めて高額になることが見込まれるが、工場経営が厳しいなか、既存の設備更新等に係る補助事業では対応が困難」と明記。国の財政支援制度を創設するよう求めた。
同社も当初は産地パワーアップ事業の活用を想定していたが、県と歩調を合わせ、新たな沖縄振興計画で新補助制度の創設を目指し、22年度以降の事業化を目指す方針に転じた。
17日に大浜公民館で開かれた石垣島製糖の原料委員会では、市さとうきび生産組合の伊敷繁光組合長が新工場の早期建設を訴え「石垣市をはじめ、足並みをそろえてこの問題に取り組まないと解決しない」と関係機関・団体が一致団結して要請行動を展開するよう求めた。
他の参加者からも「糖業は生きるか死ぬかの時だ。皆さん、国会に行きませんか」と要請行動への参加を促す声が出た。
松林社長は「県は、産地パワーアップ事業では『できない』とはっきり言っている。何とか伝えてほしい」と期待した。
同社と関係機関で組織する石垣島製糖新工場建設推進協議会(会長・中山義隆市長)は、年内にも沖縄総合事務局と県に新工場の早期建設を要請する方針で、作業部会で調整を進めている。
ただ新たな沖縄振興計画での新補助制度創設に関しては、今回の要請文の文案では言及しておらず、同社は来年以降の要請活動で改めて求めていくという。
同社の現工場は老朽化が進んでいる。新工場建設の事業費は約200~250億円と見込まれるが、同社を事業主体として産地パワーアップ事業を導入した場合、同社の負担額は事業費の20%で最大約50億円と高額になる。
同社は当初、市が事業主体となるよう要望していたが、市も財政負担が大き過ぎるとして応じない考えを示した。