石垣市立平久保小学校(宮里満男校長)が2021年度に休校することが決まった。同校は石垣島最北端の小学校だが、少子化や過疎化の波を受け、この10年で児童数が10人を超えたことは一度もない。ひらくぼ幼稚園も19年度から休園となっており、再開のめどは立っていない。休校が長期化すれば地域から学校が消える事態も予想される中、地域住民からは「廃校だけは避けたい」という声が上がる。
市教育委員会によると、平久保小の児童数は15年度9人、16、17年度8人、18年度5人、19、20年度4人と推移。21年度は1人が卒業し、当初、2世帯3人の在校生が残る予定だったが、両方の保護者が「子どもを集団の中で成長させたい」と転校を申し出た。
地域には今春、幼稚園に入園する予定の幼児が1人いるが、ひらくぼ幼稚園への入園は予定しておらず、同幼稚園の在籍ゼロは21年度も続く。
市教委によると、学校に児童が1人でもいれば職員を配置し、機能を存続させることができる。だが幼稚園、小学校の再開は「転居してくる子連れの家族が出るのを待つしかない」(市教委)のが現状。休校が長期間続けば「廃校も選択肢になる」という。
地域住民には「学校がなくなると地域もなくなる」という危機感がある。平久保地区在住の70代男性は「休校はとても淋しい。公民館と市は、出来る限りの手を尽くしてほしい。廃校だけは避けたい」、自身と子ども4人が同校出身だという70代女性は「学校を存続させるには住民を増やし、地域を活性化させることが重要」と訴えた。
同校の休校が報告された18日の市教委定例会でも、教育委員から「休校したまま学校がなくなってしまうのは忍びない。何か考えていくことも必要だ」と指摘する声が出た。
同校は今年度、4人の児童に対し、教職員5人、市教委の会計年度任用職員3人、調理員、図書館司書、用務員各1人を配置。ほかに委託業者から派遣された警備員1人がいた。
21年度は児童数がゼロになることを受け、学校施設を維持管理するための用務員、警備員を除いて職員の配置がなくなる。
ただ同校が災害時、地域の避難場所になっていることも踏まえ、電気やガスといったインフラは21年度も維持する方針。学校再開へ、いちるの望みをつなぐ。