石垣市の中山義隆市長は8日の市議会一般質問で、多選自粛条例を提案する意思があるか問われ「私自身の身の処し方を決定することだが、多くの皆さんと相談しないといけない。この場で軽々に申し上げるべきではない」と明言を避けた。過去の市議会では提案の意向を示していたが、来年の市長選での4選出馬を意識し、発言を変化させたと見られる。
多選自粛条例の制定は1期目以来の公約。しかし来年の市長選に向け、保守支持層から中山市長の4選出馬を求める声が出ている。市長が4選出馬の意向を固めた場合、同条例は提案されないことになる。
一般質問では長浜氏が同条例について「多選を否定する考えがあるなら、条例の有無を問わず、きっぱり自ら判断すべきだ」と4選不出馬を迫った。
中山市長は、同条例制定を公約に掲げた1期目の選挙について「5期目を目指した現職に対し『変えよう長期政権』をキャッチフレーズに出した公約だった。当時は市が不況で、マンネリ化した市政運営に対する不満が市民にくすぶっていた」と振り返り「(多選が)市民生活や市の発展に弊害を与えるなら潔く退くべきだ」と述べた。
その上で「いずれにしても市長は選挙で選ばれる。長期政権でだめだというなら、支持は集まらない。政党の推薦を得る段階で、候補者としてふさわしいかを評価される。長期政権の批判があれば選考されない」と強調した。
次期市長選への出馬については「相談しないといけない方も多数いるので、この場で軽々に申し上げるものではない」と明言を避けた。「残すところ任期1年、新型コロナ禍で疲弊している経済を一日も早く回復させ、市民生活を元に戻せるよう取り組む」と当面の市政運営に決意を示した。
長浜氏は「選挙で有権者が決めるというのは有権者に責任を転嫁するようなもので、有権者に失礼だ。これは市長自身の問題で、政治家としての信条の問題だ」と批判した。