政府が新型コロナウイルスの影響で減収した世帯に無利子で貸し付ける「緊急小口資金」「総合支援資金」の2020年度貸し付け総額が石垣市で7億3738万円に上ることが、申請窓口となっている市社会福祉協議会のまとめで分かった。市社協によると観光関係者の申請が目立ち、新型コロナの影響で観光業が苦境に陥っている現状を浮き彫りにしている。
市社協がまとめた貸し付け決定件数によると、20万円以内を貸し付ける緊急小口資金は1287世帯で2億3105万円、2人以上の世帯であれば最大で3カ月60万円を貸し付ける総合支援資金は689世帯で3億5094万円だった。
総合支援資金の利用者に追加で貸し付ける「延長」、2回目の追加となる「再貸付」は20年度内に新たに創設された制度だが、それぞれ242世帯で1億2389万円、61世帯で3150万円の貸し付けが決定した。
年間の貸し付け世帯数は両資金の合計で延べ2279世帯。申請者の業種は飲食、ホテル、マリンレジャー、タクシーなど、観光関係者が目立つという。
申請は各市町村の社協が受け付け、県社協が審査する。決定後、通常なら緊急小口資金は1週間前後、総合支援資金は1カ月前後で申請者の口座に振り込まれる。市社協では昨年3月の制度創設後、申請が途切れなく続き、ピーク時は1日約30件の申請があったという。
貸し付け総額が年間で7億円超となったことに市社協の宮良亜子事務局長は「これだけたくさんの人が貸し付けを必要としているのかという驚きがある」と話した。緊急小口資金、総合支援資金とも使途は生活費に限られ、事業資金や借金の返済には充てられないと注意を促している。
両資金の利用は無利子、保証人不要。それぞれ据え置き期間1年以内で、償還期間は緊急小口資金が2年以内、総合支援資金が10年以内。重複して貸し付けを受けることも可能で、その場合の貸付額は最大200万円になる。申請期限は6月末の予定。
市社協は感染防止の観点から郵送のみで申請を受け付けている。詳細はホームページに掲載している。