米軍普天間飛行場移設に向け、農相が移設先である辺野古海域のサンゴ礁移植を許可するよう指示したのは違法だとして県が取り消しを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷は6日、県の上告を棄却した。
県の主張が通れば、行政の恣意的な許認可権行使が容認されかねない。最高裁判決はおおむね納得がいく内容だ。
辺野古海域の埋め立ては2013年、当時の仲井真弘多知事が承認。防衛省沖縄防衛局は埋め立て海域にある計約3万9590群体のサンゴ類を保全するため、19年、移植に向けた特別採捕許可を県に申請した。
県が特別採捕許可の申請を審査するために設けた標準処理期間は45日間だが、期間が過ぎても判断しなかったため、農相は20年、地方自治法に基づき、県に許可するよう指示した。
県は、農相の指示は知事の判断権限を奪うことになりかねず、地方自治の観点から大きな問題があると訴えてきた。
埋め立て海域のうち大浦湾側(辺野古崎の東側)の大半で軟弱地盤が見つかったことも重視した。農相指示の時点で防衛局は県に地盤改良のための設計変更を申請しておらず、県は「工事を完成できないのは明らか。申請を許可しないことが違法とされるいわれはない」と主張している。
だが、特別採捕許可申請の対象となったサンゴ礁がある海域では軟弱地盤は確認されてない。第3小法廷は判決で、軟弱地盤がない海域に関しては、設計変更の申請がなくても国は適法に埋め立てを実施できると指摘した。