【視点】県と国 信頼関係あるのか

 沖縄ではコロナ禍が始まって以降、ほぼ例外なく全国最悪レベルの感染状況が続き、医療体制の逼迫(ひっぱく)もなかなか改善しない。この1年半を総括し、県のコロナ対策が県民の満足できるレベルに達しているかと言われれば、現状では到底そうは思えない。
 玉城知事はそのつど、専門家会議の意見を忠実に政策に反映させているものの、思い切った対策が打ち出されているという印象は少ない。政治的リーダーシップの痕跡が希薄なのだ。
 後手の対策の典型例が空港PCR検査だ。受検者が少なく、しかも離島空港での実施は大きく遅れ「第4波」阻止の有効策にならなかった。来県者の検査徹底を求めるなら、それなりの方法を考えるべきだ。
 市町村へのワクチン配分を巡っては、接種が順調に進んでいる石垣市が追加配分を求めたことに県が難色を示し、市が国に直訴する事態になった。中山義隆市長が記者会見で明かしている。
 知事が繰り返す県民や観光客へのアピールも、現状を見る限り、人々の心に響いてきたとは言い難い。県内の感染者が高止まりする中で、問題だけ積み重なっていく現状が、国の不信感につながっているのではないか。
 宣言延長は夏の観光シーズンを直撃するため、観光業界から悲鳴が上がっている。玉城知事は宣言を今月中に前倒しで解除させるよう努力する考えを示した。ワクチン接種が進むことで出口も見えてくる。ここが正念場だという意気込みで対策を進めてもらいたい。
 玉城知事は接種の加速化に取り組む考えを改めて示したが、9日の記者会見では、先に表明した3カ所目の広域接種センター設置に関し「厳しい」と述べた。
 県民としては、コロナ禍当初からずっと、このような知事の言葉の「空回り」がもどかしい。

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