新型コロナウイルス拡大に伴う緊急事態宣言がきょう12日以降も延長され、休業や営業時間短縮の継続を迫られた石垣市内の飲食店からは「しょうがない」などと諦めの声が上がっている。一方で営業再開を模索する動きもある。玉城デニー知事は今月中の前倒し解除を目指す方針を示しており、限られた時間で感染者数をどこまで減らせるか、沖縄は正念場を迎える。
繁華街・美崎町の飲食店は閑散としている。60代のバー経営者者男性は「ちゃんとルールを守って休みたい」と休業を続ける意向。「『まん延防止等重点措置』に移行すれば時短で営業を再開できると考えていたが、まさかの緊急事態宣言。しょうがない。内地から夏休みやお盆休みなどで沖縄に来ないでほしいということなんだと思う。早く感染者の人数を減らし、早期解除を願う」とため息をついた。
時短営業を続ける飲食店の男性店主は「要請を無視して遅くまで営業し、酒類を提供している近所の店がある。どういう感覚なのか理解できない」と顔をしかめる。この店の売り上げは2019年と比べると3割近く落ちているが、現在はテイクアウトや弁当・惣菜クーポンの利用を促すなどして営業に励んでいるという。
一方、午後8時以降も店を開ける決断をした美崎町の30代男性経営者は「金銭的にもかなり厳しいので、知り合いの予約がある時だけ開けるようにしている」と話す。周囲には、長引く休業で経営を続けられなくなり、店舗を譲る人も出ているという。
「従業員を抱え、1日の売り上げが協力金を上回っていた店舗はやむを得ず開け始めているのではないか。周辺は何らかの形で6割~7割くらいは営業しているという印象。ワクチンを打ったから飲みに出るという人もいると聞く」と明かした。
別の飲食店経営者は「個人経営の僕たちのような店は人件費を削る必要もないし、要請に従えば補助金が下りる」と、コロナ禍を前向きに受け止めていた。
県外での勤務を含め30年以上、飲食店経営の経験があるという。「オーナーの数だけやり方があっていいと思うが、自分の経験上、このような混乱の中で世の中の方針に逆らうのは逆効果だと思う」と強調した。
緊急事態宣言の期間中、県は引き続き、飲食店に対し午後8時までの時短営業と、酒類の提供停止などを要請している。応じない場合、最大30万円の過料が科される可能性がある。