【視点】アフガン民主政権が瓦解

 このところ世界で民主主義の後退が目立っている。スウェーデンの調査機関によると、最も高い水準にある「自由民主主義」の国は10年の41カ国をピークに、20年には32カ国に落ち込んだ。最も専制的な中国など「閉鎖専制主義」と、ロシアなどの選挙専制の合計は87カ国に上り、自由民主と選挙民主の計92カ国に迫っている。
 中国は香港の民主主義を踏みつぶし、台湾へ触手を伸ばそうとしている。日本は民主主義陣営の一員だが、尖閣諸島問題に象徴されるように中国の軍事的圧迫に直面し、有効な対抗策も打てない。
 米国は中国を最大のライバルとみなし、対中包囲網の構築を進めている。だが現在の国際情勢を見ると、逆に民主主義陣営こそ独裁国家陣営に包囲されかねないようだ。21世紀のトレンドが自由や民主主義ではなく、抑圧や独裁への逆行である可能性は十分に高まっていると言えそうだ。
 日米同盟に安住しているだけで日本の安全は保てるのか。自由や民主主義の守護者として日本には何ができるのか。激動する国際情勢は日本に困難な問いを突き付けている。現在の平和や繁栄を次世代に受け渡すために、自存自衛の国づくりを改めて考え直すべき時だ。

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