感染なら学校寮一時退去 県教委「2週間程度」 市議会 療養施設の確保求める 

県立高校が保護者宛てに出した通知(一部黒塗りされています)=石川勇作市議提供

 県教育委員会は、県立学校の寮で新型コロナウイルスの感染者または濃厚接触者が発生した場合、寮内で療養させず、保健所が指示する2週間程度の期間は退寮させる方針を決めた。これに対し石垣市議会(平良秀之議長)は27日の臨時会で、県が責任を持って退寮者の宿泊療養施設を確保するよう求める意見書を全会一致で可決した。

 県教委の決定を踏まえて県立学校が18日、寮生の保護者に出した通知では、退寮した生徒は保護者か身元引き受け人が引き取るよう要請。ただし公共交通機関は利用せず、必ず自家用車などを使うことも要請した。
 従来、県立高校の寮内で発生した感染者や濃厚接触者は入院するか、宿泊療養施設で療養していた。しかし新規感染者の急増で医療提供体制が逼迫(ひっぱく)したため、今後は自宅療養を指示される可能性がある。
 だが県教委は寮内での療養を認めず、舎監や教諭などの対応もできないとしている。
 意見書を提案した石川勇作氏によると、県立高校の寮生は約1000人おり、ほとんどが離島や県外からの生徒。仮に八重山の保護者が生徒を引き取りに行った場合、公共交通機関である航空機が利用できないため、島には連れ帰れない。
 このため、2週間程度は沖縄本島のホテルで療養する必要があるが、受け入先を探すのは困難。見つかったとしても2週間の滞在費として20~30万円を要する可能性がある。
 県は県外からの修学旅行生が感染者または濃厚接触者になった場合、保護者と生徒に1泊9800円を上限に14泊まで宿泊費を補助し、往復渡航券を支給しているが、離島や県外への生徒が退寮する場合の補助はない。
 意見書では県教委の対応について「まったくもって理解できない」と批判。「離島や県外からの生徒だけが、現実的に不可能な対応を押し付けられ、平等に教育が受けられない状況は、離島軽視そのもの」と訴えた。
 その上で、医療関係者と連携し、濃厚接触者でも寮で療養できるようにするなどの対策を講じるべきとした。宛て先は知事、県議会議長、県教育長など。

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