石垣市議会(平良秀之議長)の臨時会が27日開かれ、建設中の新庁舎の工事請負契約金額を49億9730万円から59億3299万円に増額する契約変更を18日の臨時会に続き、賛成少数で再び不同意とした。新庁舎の工期は今月末に迫っているが、完成しても市が引き渡しを受けられない異例の事態になる可能性が高まった。
新庁舎建設工事は8月末で終了するが、市は工期を延長し、9月議会に契約変更を再々提案する方向で検討する。
建物の引き渡しを受ければ、9月に新庁舎への引っ越しを開始し、11月に供用開始する予定だった。中山義隆市長は議会閉会後の取材に「議会の理解が得られなかったのは残念」とした上で「供用開始のスケジュールに影響が出ないよう業者と調整したい」と述べた。
この日、市議会では総務財政委員会(砥板芳行委員長)が午前10時過ぎから契約変更を審議した。
市は総事業費を約108億円と説明している。野党の宮良操氏は、議会に詳細な説明がないまま清算段階で事業費が高騰したと指摘、「市民からすると、議会のチェック機能は働いていたのかということになる。不同意にして、定例会で十分に議論すべきだ」と述べた。
長浜信夫氏は「これだけの大型事業は石垣市で初めて。議会も慎重に向き合わなくてはならない」と再審議を求め、与党の石垣亨氏も「議会軽視が市のトップや幹部の認識にチラチラ見えている」と批判した。
市契約管財課の野崎雅治課長は「意見を受け止め、今後改善に努めたい」と応じた。
一方、与党の米盛初恵氏は「契約金額はもう確定しているので、これ以上同意を引き延ばしても意味がない。債務不履行になると損害賠償で市が余計な費用を支払うことになる」と危惧した。
採決では3対4の賛成少数で不同意とした。野党のほか、与党から石垣亨氏が反対に回った。
本会議での採決は午後5時過ぎに行われ、野党8人のほか、与党から石垣亨氏、仲間均氏が契約変更に反対した。中立会派未来の箕底洋一氏は欠席。賛成9、反対10になった。
採決に先立ち、宮良氏が反対討論し「説明が不十分だ」などと改めて市の姿勢を疑問視。与党の我喜屋隆次氏は「(新庁舎が)政争の具にされていないか」、長山家康氏は「法的問題がないなら賛成すべきだ」と主張した。
契約金額の変更は設計変更、当初の工期延長に伴う諸経費の増額、島外作業員の渡航費清算などが原因。18日の臨時会では、市の説明が不十分として不同意になっていた。