「コロナなんか関係ないだろ」「私たち、マスクしない主義なんです」。これらは実際に、観光客から島民に向けて発せられた言葉だ。竹富町内で新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、離島を訪問する観光客のモラルも問われている。
竹富島の飲食店で働く女性は「半数近くがマスクなしで注文にくる時があった。注意すると持っていないと言う人も。どうやって船に乗ったのか」と憤る。あまりに小規模離島の現状や危機感が観光客に受け止められていないと、竹富港待ち合い所に設置された「臨時休業事業所一覧」の掲示板に、八重山保健所管内の新規陽性者を人口比率で大都市に換算したデータを、独自に算出して貼り出した。
例えば八重山の新規陽性者が21人の場合、東京だと5434人、大阪だと3469人となり、インパクトのある数字が並ぶ。また「この島に診療所が1つ、医師は1人、看護師1人です」と、住民が命の危険と隣り合わせである現実を訴えた。関係者によると、ほとんどの観光客は納得して、歩いたり路線バスでビーチに行くことが多いが、中には「心ない言葉」を投げかける人もいるという。
観光業の男性は「休業を知らずに来島する人もいるようなので、周知を強化したい」と話した。また非観光業の男性は「緊急事態宣言中の観光客は総じてマナーが悪い。かつて中国人旅行者のマナーが問題になったが、それよりひどい」と吐き捨てるように話した。「離島を知らない知事のセルフロックダウンの結果がこれだ」「竹富町長は生の声で、町内全島の放送でメッセージを出して」などという声もあった。(隅田賢通信員)