コロナ禍の石垣島に希望のハーモニーが響く―。島のアマチュアオーケストラ、石垣フィルハーモニー管弦楽団の第3回定期演奏会が17日午後2時から、石垣市民会館大ホールで開かれる。先月末の緊急事態宣言解除後、八重山で再開する初の本格的なコンサートで、団員たちは「久しぶりに音合わせをして鳥肌が立った」と、演奏できる喜びを噛みしめている。
石垣フィルは2014年に結成され、各地でのファミリーコンサートや定期演奏会などで着実に活動の幅を広げてきた。
しかし昨年からのコロナ禍で、予定されていたコンサートはすべて中止。緊急事態宣言が発令されると、練習の場だった石垣青少年の家も閉鎖された。団員は少人数で公園に集まり、何とか練習を継続した。
宣言解除で演奏活動開催のメドが立ったが、九州や沖縄本島ではまだ自粛ムードが続く。今回の演奏会にも、本業が医療や学校関係などのメンバーがやむなく参加を辞退したという。
芸術監督で、県立芸大名誉教授の庭野隆之さん(67)は「メンバーが少なくても、演奏会をやることに意味がある。観客も生の音を聞きたがっているし、私たちも音を合わせることに飢えている」と活動再開への意気込みを強調する。
会場の市民会館大ホールは改修後、7月から使用可能になっていたが、市によると緊急事態宣言解除後、一般の観客を入れたイベントは今回が初となる。
団長でチューバ奏者の中西悠さん(26)は「会場のいすを動かそうとすると、ほこりがたまっていた」と苦笑い。「人前で演奏するのは1年ぶりくらい。久しぶりに音合わせをして鳥肌が立った。いろいろな人に本格的なオーケストラの音を聞いてほしい」と呼び掛けた。
プログラムはドボルザークの「交響曲第8番」、ビゼーの「アルルの女組曲」など。石垣フィルの団員は15人で、地元の高校生や、庭野さんの要請で来島した沖縄本島のプロ、アマ奏者が加わり、総勢40人余となる。
トランペット奏者、武田結菜さん(八重高1年)は、中学校吹奏楽部の演奏会以来の舞台で「これだけ大人数での演奏は初めて。緊張するが雰囲気を楽しみたい」と期待した。
16日のリハーサルで「ホールいっぱいに響くくらいの音量で」と団員にげきを飛ばした庭野さん。定期演奏会は2年ぶりで、奏者たちのモチベーションも通常より高まっているといい「音楽は心の糧で、気持ちを豊かにさせる。演奏を聴き、元気になってもらいたい」と本番を心待ちにしていた。
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演奏会では新型コロナ対策として、家族連れを除き客席を1席ずつ空ける。入場者にはマスク着用と手指消毒を求め、入場券に連絡先を記入してもらう。入場者数が多い場合は入場制限することがある。午後1時開場。チケットは一般990円、小中高校生500円、未就学児無料。山田書店で販売している。