【視点】陸自配備 衆院選結果も追い風に

 防衛省が石垣島で進める陸上自衛隊配備の是非も、衆院選で争点の一つとされた。
 当選した自民党の西銘恒三郎氏は日本を取り巻く厳しい安全保障環境を指摘し、配備に賛成した。対立候補である立憲民主党の金城徹氏は「住民合意のない配備に反対」と訴えた。
 石垣市で西銘氏は1万1千41票を獲得し、金城氏に1636票の差をつけた。石垣市の中山義隆市長も、2018年の市長選で配備を認める姿勢を打ち出して当選しており、今衆院選で、配備を容認する市民の多数意思が改めて示された。
 防衛省は2019年、島中央部の平得大俣地区で駐屯地建設に着手しており、早ければ来春にも駐屯地が開設される可能性がある。仮に金城氏が当選していても駐屯地建設に影響はなかったと見られるが、配備賛成の候補が市民の信任を得た意義は大きい。
 配備反対の市民らは、争点を配備の是非一点に絞った住民投票の実施を訴えている。石垣市に住民投票の義務があると訴えた裁判闘争にも突入したが、最高裁で敗訴した。現在、新たな裁判を起こしているが、見通しが明るいとは言えない。
 防衛省は奄美大島、宮古島、与那国島でも陸自駐屯地を開設したが、とりわけ石垣島での駐屯地建設が注目されるのは、石垣市が尖閣諸島を行政区域に抱えているからだ。
 日本政府が2012年に尖閣諸島を国有化して以来、中国政府は10年近く周辺海域への公船派遣を継続している。尖閣周辺海域は今や、日本漁船が正常に漁ができる状況ではなくなった。
 中国共産党政権が続く限り、中国が尖閣諸島から自主的に撤退する可能性はほぼない。中国の経済的、軍事的強大化を背景に、八重山への脅威は今後とも増す一方だろう。
 八重山と一衣帯水の間柄と言える台湾も、中国の強い軍事的圧力にさらされている。習近平国家主席は、台湾を「必ず統一する」と表明し、今年に入り、台湾の防空識別圏に進入した中国軍機は600機を超えた。中国は同時進行で台湾と日本への挑発を強めていることが分かる。
 だが、強盗も守りの堅い家には簡単に押し入らない。台湾に近く、尖閣を抱える八重山で自衛隊が存在感を示すことは、中国を牽制(けんせい)し、紛争や有事を招かないために必要な手段だ。防衛省には、衆院選で示された市民の意思を追い風に、着実に配備を進めてほしい。
 配備反対の市民は配備に伴う環境破壊や、生活への影響に懸念を示している。現時点で深刻な問題は確認されていないが、市民生活が正常に営まれてこその陸自配備であり、防衛省や石垣市は、不安解消に向けて丁寧な対応や説明に努めるべきだ。
 コロナ禍で、衆院選の候補者はほとんどが感染対策や経済政策を第一に掲げた。外交や安全保障問題がクローズアップされる機会は少なく、沖縄でさえ、尖閣問題や台湾問題に関する議論がほとんどなかった。
 台湾のシンクタンクが発表した世論調査では、台湾有事の際「日本が出兵して台湾防衛に協力するか」との問いに、58%が「見込みあり」と回答した。事態は沖縄県民が思う以上に差し迫っていると感じる。

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