石垣市役所が「広く明るい」建物に生まれ変わる。市は12日午前10時から、新庁舎落成式を開催する。石垣島の伝統的な風景に配慮し、赤瓦の屋根が幾層にも重なる特徴的な外観。1階の入口部分には、開放感がある吹き抜けの空間「市民広場」が配置されている。現庁舎に比べ敷地面積は約3倍、延べ床面積は約2倍。市民向けに午後2時から内覧会を予定している。
落成式に先立ちオープニングセレモニーが開かれ、市出身の書家・茅原南龍氏が揮毫(きごう)した新庁舎の銘石、銘板の除幕とテープカットが行われる。
落成式は中山義隆市長ら関係者のあいさつ、功労者への感謝状贈呈などのプログラムとなっている。
新庁舎は、著名な建築家である隈研吾氏の事務所が設計を手掛けた。「みんなが集う石垣市のランドマーク」を基本理念に、市の伝統的な風景と近代的、実用的オフィスの融合を目指した。
約50の屋根に約12万枚の赤瓦を配した。建物の中央部は1階から3階までの吹き抜け。1階は東西に入口があり、市民広場を中心に、総務部納税課、市民保健部市民課、教育委員会など、窓口で市民の相談を受けることが多い部署を配置した。
キッズスペース、授乳室も設け、子育て中の女性などの来庁に配慮した。女性職員の休憩室も新設した。
市民広場やコミュニティルームで各種イベントが開催可能。会議室の数も現庁舎に比べ増えた。
2階には市長室、企画部、農林水産商工部、建設部など、3階には議会、選挙管理委員会などが入った。
新庁舎の建物や設備工事などの総額は約89億4千万円。用地取得や引っ越し費用なども含めた総事業費は108億円で、高額過ぎるとの批判も上がっている。
建設地は旧石垣空港跡地で、公共施設の高台移転を補助する国の制度を利用していることから、約30億円は交付税措置で市に戻る見込み。
敷地面積は現庁舎1万373平方㍍、新庁舎約3万159平方㍍。延べ床面積は現庁舎6109平方㍍、新庁舎1万3921平方㍍。
駐車場は一般用として現庁舎の約4倍となる235台分確保した。駐車料は無料となる。
現庁舎は1970年から88年にかけて建設され、老朽化が進んでいた。市は当初、現庁舎を取り壊して同じ場所に新庁舎を建設する計画だったが、現庁舎がある美崎町が津波浸水域に入っていることから、住民投票を経て、高台にある旧空港跡地での新庁舎建設が決まった。