【視点】立憲代表選 問われる党の軸足

立憲民主党の代表選はきょう19日告示、30日投開票される。衆院選敗北の責任を取って辞意を表明した枝野幸男代表の後任選びで、現時点で泉健太政調会長(47)、逢坂誠二元首相補佐官(62)、西村智奈美元厚労副大臣(54)、小川淳也元総務政務官(50)が立候補を表明。立憲民主党と共産党の「野党共闘」の是非などが争点となる見込みだ。
立憲民主党にとっては結党以来初の党首交代になる。野党第一党として、名実ともに政権交代の受け皿になれるのか。代表選を通して厳しく問われることになるだろう。
衆院選で枝野氏は、自公に対抗して野党の候補者を一本化することにこだわり、共産党との連携を進めた。
しかし共産党は共産主義社会の実現、日米安保条約廃棄、非同盟・中立など、他の政党とは異質の国家観に立脚した政策を掲げている。そうした相違を棚上げした野党共闘には、支援組織の日本労働組合総連合会(連合)が公然と不快感を示すなど、賛否が渦巻いた。自民党からは両党の連携を「立憲共産党」と揶揄(やゆ)する声も出た。
結果として政権交代を実現できなかっただけでなく、両党とも議席を減らしたのだから、野党共闘は失敗だったと言っていい。
振り返れば、野党共闘は沖縄が先鞭をつけた。既に2014年衆院選で、元自民党から共産党までのメンバーを集めた「オール沖縄」が結成され、県内の国政、県政選挙を席巻した。
旗印となる政策は米軍普天間飛行場の辺野古移設反対という一点で、その他に関しては、参加した政治家がそれぞれ合意できる範囲内で政策協定を結んだような形だった。
「オール沖縄」の領袖とも言える翁長雄志前知事の死去後は目に見えて保守色が薄まり、かつての「革新共闘」に先祖返りしたと指摘されている。
立憲と共産の野党共闘も、両党と市民連合で合意した政策は安保法制の廃止、脱原発、富裕層の負担強化など、いわゆる左派色が強い項目が多く、立憲の独自色はだいぶ埋没した。
「オール沖縄」も「野党共闘」も、衆院選では敗北と言っていい結果に終わった。それぞれ選挙区事情の違いはあるが、共通する敗因は保守中道層の支持を取り込めなかったことだ。
野党の中でも、保守中道寄りと見られる維新の党や国民民主党は議席を増やしている。有権者の多くは、いわゆる左派色が強い政党を政権交代の受け皿とはみなしていない。
立憲が政権交代時の旧民主党のような存在に脱皮するには、軸足をより中道寄りに修正することが必要で、少なくとも共産との共闘見直しは必須ではないか。
地方組織の強化も喫緊の課題だろう。沖縄の場合、野党第一党でありながら支持基盤は脆弱で、衆院選で擁立した公認候補2人はいずれも落選した。地域に根差し、草の根の活動ができる政治家が党から育っていない。

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