石垣市新川の真乙姥嶽拝殿の改築工事が完成し、23日、真乙姥嶽拝殿新築事業期成会(入嵩西正治会長)主催の記念式典と祝賀会が開かれた。新川、登野城、大川、石垣の字会長や多数の地域住民が参加し、地域住民に崇敬される御嶽拝殿の装いが一新された日を祝った。
旧拝殿は1965年に建立され、築50年以上が経過して老朽化が進行。雨漏りなどもあり、早急な改築が求められていた。新川字会(入嵩西純会長)は2017年6月、同期成会を発足させ、寄付募集活動などを続けてきた。
新拝殿の設計は地元出身の建築家、照屋寛公氏が担当。「伝統とモダン融合」をコンセプトに、コンクリート、木造小屋組屋根、赤瓦葺きを組み合わせた「耐用年数百年」の拝殿にした。
式典は、「南ぬ島カンター棒保存会」が新川に伝わる獅子舞とカンター棒を笛の演奏とともに奉納。真乙姥嶽神司の東濵明美さん、前里慶子さん、宮鳥御嶽から訪れた神司の小川喜美江さんが感謝の御願を捧げた。
期成会の入嵩西会長は「真乙姥嶽は504年の歴史を誇り、四カ字を中心とした八重山最大の豊年祭が行われるなど、重要な役割を果たす。地域の皆さんはじめ、多くの皆様の志で落成式典を迎えることができた」と述べた。
中山義隆市長は「沖縄の新しい新時代の建築様式を取り入れ、100年保てる御嶽が時代の新しい1ページを迎えることに感謝したい」と祝辞。4カ字会長を代表し、石垣字会の大濵慶功会長があいさつした。
祭祀や地域史に詳しい石垣博孝氏は「設計者が意匠に苦労した跡がある。新拝殿建設にあってはさまざまな意見が出たと思われるが、イビ(真乙姥の墓)をきちんと拝礼する場所であることが重要」と指摘した。
式典に続き、会場を新川公民館に移し、祝賀会が開かれた。